陸上競技 トレーニング

400mの選手の練習といえば「ケツワレ」練習

投稿日:2017年4月5日

今日は400mの専門的な練習について書いていこうと思います。

 

400mはとにかく過酷な競技です。世界トップレベルの選手でさえラスト100mは苦しさに表情が歪み、ゴール後はトラックに倒れこみ大の字になります。

2015年の世界選手権では優勝したバンニーケルク選手(2016年のリオ五輪では世界新記録を樹立)が意識朦朧状態になり担架で運ばれるという場面もありました。

ウイニングランもままならない・・・。

初めて走った時に味わった辛さがトラウマとなり二回目以降のレースが消極的になったり「二度と走らない」と400mを断念する選手も多くいます。それほどまでに過酷な競技です。

 

トラウマになるほどの辛さ、これがいわゆる「ケツワレ」です。
ケツワレは普通に生活しているだけなら一生味わう事のない痛みです。
なので競技をやってない方に説明するのは難しいですがケツワレという言葉は本当に的確にこの辛さを言い表していると思います。
通常お尻というのは2つにわれておりますが、ケツワレというのはお尻が12個(1ダース)、24個(2ダース)に割れたような痛さのことですから(笑)
一度ケツワレ状態まで追い込まれるとその後の10分(少なくとも)は座っていようが寝転んでいようがずっとお尻の筋肉の痛みにのた打ち回らなければなりません。

 

このように辛い400m走ですので、それを勝ち抜く為のトレーニングも当然過酷なものとなります。
特にシーズンオフの冬季練習は過酷です。
冬の競技場ではゴール付近でのた打ち回るロングスプリンター達をよく見かけます。

 

400m選手の走り込みは一般的に乳酸系といわれる練習です。
よくおこなわれているのは300+300+300などのインターバルです。
300mを80%程度のスピードで走り、100m歩き、また300m走り、100m歩き、300m走るというような練習です。
100m歩くだけの休息では脚に溜まった乳酸は完全にはなくなりません。
つまり2本目は乳酸が溜まった状態で走る事になります。当然2本目を走り終わった時点で1本目終了時より乳酸が溜まった状態となります(ジワジワとケツワレが始まった状態)。
この状態で3本目を走りきると完璧なケツワレ状態の完成となります。

 

何故80%程度のスピードで3回に分けて追い込んでいくのか?
300mの1本の全力疾走となると心身共に負担が大きい為、メンタルの弱い選手や初心者は無意識に力を抑えてしまい限界まで追い込むことができません。
そこでスピードを抑えて心理的な負担を減らす代わりに本数を増やして段階的に追い込んでいくわけです。この方法だと実際のレースよりも乳酸が溜まる程追い込む事が可能です。
これは私が学生時代に乳酸値を測定して確認しました。
ちなみに300+300+300ではなく900mを一本というのも試してみましたが、これは駄目でした。
短距離選手にとって900mは長すぎてスピードを落としても心理的な負荷が大きく、さらに900m走りきれるスピードはもはや短距離のスピードではありません。
選手によってはジョギングに近いものになってしまい乳酸はあまり出ませんでした。

 

乳酸を溜める練習を繰り返すことによって、乳酸に対する耐性が高まると言われています。(レース後半で脚が動かなくなる直接の原因が乳酸であるかどうかという生理学的な話はここでは割愛します)
初レースで後半脚が止まってしまった選手でも乳酸を出しまくる冬を越えると最後までしっかり走り切れるようになり劇的に記録が向上します。
また400mを1本走ると1日が終わっていた選手も2レース、3レースに耐えられるようになります。

 

しかしこのような練習で記録が大幅に伸びるのは初めのうちだけです。
そのうちタイムは頭打ちし、伸び悩む選手が出はじめます。
練習量を増やしても記録は伸びないばかりか低下してくる場合もあります。
伸び悩む原因について次回書きます。

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