昨年のリオ五輪、男子400mで不滅といわれたマイケル・ジョンソン世界記録を更新した南アフリカのバンニーキルク。今年もその勢いが止まりません。世界選手権の400mでは人類が43秒の壁を破る瞬間を目撃することができるかもしれません。かなり可能性が高いと思っています。リオ五輪では準決勝で脚に痛みが出て決勝ではハムストリングと腰にテーピングをしていたので万全の状態ではなかったと思われます。それでも42秒台まであとたった0秒04ですからね。
リオ五輪で世界新記録をマークしたバンニーキルク選手
バンニーキルク選手のすごさはその万能性にあります。100m~400mまでの彼の自己ベストを以下に示します。
100m 9秒94 (+0.9) 2017年6月20日
200m 19秒84 (+1.2) 2017年6月10日
300m 30秒81 2017年6月28日 世界最高記録
400m 43秒03 2016年8月15日 世界記録
短距離種目(100m・200m・400m)において9秒台・19秒台・43秒台をそろえた選手はバンニーキルク選手以外にはいません。あのマイケル・ジョンソン氏でさえ100mの9秒台は持っていません。100mでも世界大会で決勝に残れるスピードをロングスプリントに活かせている選手といえるでしょう。183cm、70kgと細身の選手ですが大きなストライドで走ります。腕振りの力がしっかり地面に伝わっている印象です。
100m・200mともに今年自己ベストを更新。持ち味のスピードにさらに磨きが掛かっています。200mは最後流していたので19秒中盤の力はあると思われます。(200mは今季世界最高記録)非公認種目の300mでもマイケル・ジョンソン氏の記録を破り世界最高記録をマークしました。
本職の400mは7月のダイヤモンドリーグでは最後流しながらも43秒6をマークしました。後半流したことに加え、ホームストレートに入った時点ではボツワナのアイザック・マクワラ選手に先行されていました。6月に行われた300mのレースではホームストレートに入った時点で同選手を置き去りにしていたことから前半もかなり余裕があったことが伺えます。それでも昨年の五輪決勝、一昨年の世界選手権決勝に次ぐ自己3番目の記録を出してしまうところから好調さが伺えます。世界選手権までにもう1レース出場するようですがインタビューで「次はグレートな記録が出せるかもしれない」と言っていたので、もしかすると世界選手権前に大記録が出るかもしれませんね。
バンニーキルク選手はシャイ?
あのボルト選手が後継者として認めるバンニーキルク選手ですが、あまり笑わない印象です。ガッツポーズなどのパフォーマンスもほとんどなく写真の笑顔も引きつった感じでシャイなのかな?という印象。世界記録を出したときでさえ笑顔を見せませんでした(疲労困憊だったのか)マイケル・ジョンソン氏、ジェレミー・ウォリナー選手などロングスプリントのトップにはクールな選手が多いですね。(ジョンソン氏は自身が世界記録達成の時には興奮した様子でしたが)
シャイで謙虚なバンニーキルク選手ですが、レース中も身に付けている時計はリシャール・ミル。お値段は・・・7000~8000万円!すごすぎます。