陸上競技 ひとりごと

高校球児の50m走速過ぎる問題 1

投稿日:2018年8月19日

甲子園球児の「50m走」タイムが日本記録超え続出という問題

野球選手に限ったことではないのですが、「50m5秒台の俊足」ってよく聞きますよね。

2018 高校球児 50m走ランキング
このサイト見ると50m走5秒台だらけ!

で、僕陸上短距離やってるんで、よく訊かれるんですよ。

「50m何走秒なの?」

正確な数値がわからないのでいつも答に詰まってしまいます。

陸上競技に50m走はありません。

ただ5秒台は厳しいっていうのは分かるので「6秒台」って答えます。

「じゃあ野球の●●選手はめっちゃ速いね、陸上用のスパイク使わず5秒台だもんね」

こんな風に言われると陸上競技経験者の大半はカチンときます。

僕は大丈夫ですよ大人なので。

でもカチンとくる気持ちはわかります。

すごくわかります、いやホント、当然ですよ。

うん、くる・・・カチンとくる、僕もカチンときますわ。

50m走の日本記録は、100mでも日本歴代4位となる10秒02の記録がある朝原宣治が持つ5秒75。世界記録保持者のウサイン・ボルトでさえ5秒47だ

記事中にもありますが、この50mの記録は50m走の記録ではなく、100m走の時の50m通過タイムです。

しかしこのデータがあるためスポーツ新聞の記事とかで他スポーツの俊足選手との比較で朝原宣治選手やウサイン・ボルト選手の名前が出てくるんでうよね。もうカチンを通り越して悲しくなります。

50mまでなら陸上トップ選手より「速い」とか「互角だ」みたいな書き方をされるとね。

言いたいことは冒頭で紹介した記事と同じなんですが、陸上短距離選手の端くれとして物申していきたいと思います。

測定方法不明のタイムは陸上競技の記録と比較するのは不可能

 

同じスピードの50m走でも測り方によってタイムは全然違ってきます。

なので、計測方法が不明なタイムはあまり参考にならないし、他と比較することは出来ないのです。

タイムの計測は色々な方法があるので簡単に解説していきます。

電気計測

陸上競技での計測方法です。

スターターが信号機のスイッチを押す(ピストルの引金を引く)と時計が動き始めます。

フィニッシュラインにトルソー(頭、首、腕、脚、手、足を含まない胴体)が到達した瞬間がゴールです。

フィニッシュラインにトルソーが到達した瞬間というのは写真判定で人が確認します。(速報タイムから正式タイム発表まで時間がかかるのはこのため)

スタートはスターティングブロックを使用し、「SET(よーい)」で完全に静止した状態からのスタートになります。
SETからスタートの合図までに動いてしまう、もしくはスタートの反応時間が0.1秒以下(人間はそれより速く反応できないとされている)だとフライングで失格となります。

手動計測

測定者がストップウォッチを用いてタイムをとる方法です。

現在の陸上競技(試合)ではほとんど採用されていません。(中学から陸上やってるけど見たこと無い)

スタートでピストルを打ち、その煙、閃光を見てゴールで待つ測定員がストップウォッチを押し、走者がフィニッシュラインに達した瞬間を目視で判断してストップウォッチを止めるという方法です。
音がフィニッシュラインに到達するまでにタイムラグがあるため音を聴くのではなくピストルの煙、光を見ています。

時計のスタート・ストップが人間の仕事なので当然誤差が生じます。

なので一人の走者に対して3人の測定員が測定し下記のルールで記録を決定していました。↓

●3人のタイムが一致したらそれを公式記録とする。
●3人のタイムのうち2人が一致し、1人が異なっている場合は、2人の時計が示す時間を公式記録とする。
●3人のタイムが異なった場合は、中間のタイムをもって公式記録とする。
●なんらかの理由で、2人しか計測できず異なった時間となった場合は、遅い方の時間を公式記録とする。

なかなか細かいですが、手動の場合はここまでしないと信用できるタイムにはならないということですね。

そして手動計測の場合は10分の1以下のタイムは切り上げです。
手動計測で5秒91は公式記録6秒0となります。

電気計測と手動計測でどのくらいタイム差があるのか

訓練を受けた公認手動計測審判の平均で電動計測より0.24秒程度速くなるというデータがあり、それをもとに現行ルールとして手動計測を電動換算する際には0.24秒プラスします。

手動計測の切り上げルールと手動→電気換算により
5秒91→6秒0→6秒24となり、
約0秒3遅くなります。

これは訓練を受けた公認手動計測審判の場合なので素人計測では誤差は大きくなると思われます。
スタートもピストルの光を見るのではなく「よーい、どん」の声を聴いてストップウォッチを押していたら、50mでも0秒15ほどタイムが速くなりますね。(音の速さが秒速340mとして)

 

手動計測と電気計測の誤差以上にタイムに影響するのがスタートの切り方です。

これについては次回、僕が実際に50m走って検証します。

-陸上競技, ひとりごと

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

2019 走り初め

かれこれ15年ぐらい、 毎年元旦は渋川海岸で走り初めをしています。 昨日走り納めたばかりですが、 今年も岡山ACのメンバーでワイワイ走りました。 最後は男女全員で浜王決定戦。 距離は200m(ハンデあ …

2019シーズンに向けた冬季練習のテーマ

9月末の全日本マスターズで2018年のシーズンを終了し、10月には行ってからは色々と試したり確認したりしています。 2019年の目標として400mで49秒台。 2018年のシーズンベストが51秒32な …

陸上競技のフライングのルールについて

先日、桐生選手が海外のグランプリレースでフライングを犯し失格するということがありました。9秒台が期待されていただけにがっかりした方も多いと思います。もちろん桐生選手本人もがっかりした事でしょう。反応時 …

超人バンニーキルク、まず1冠

マイケル・ジョンソン氏以来の200m・400m2冠に挑むバンニーキルク選手がまずは400mに登場。まったく危なげなく予選、準決勝を組一着で勝ち上がります。同様にライバルのアイザック・マクワラも順当に勝 …

ボルト伝説の最終章は?

世界陸上が始まりますね。注目はやはり男子100mですね。人類最速の男、ウサイン・ボルトのラストランです。どのような結末が待っているのか。ボルトのシーズンベストは9秒95と不調ですが、ここ数年はいつもシ …